[2019/5/26]自助努力が中心 2
5月26日(日)
経営革新支援法― 事例A
(1) 自助努力が中心 2
2.変革への計画を作成する
経営革新計画は、個別の中小企業にとっては変革への決意表明とでもいうべきものである。とりわけ運送業の経営者にとっては重みがある。
「われわれに未来はあるのか」との問いに対する答えとして、ビジネスプラン=経営革新計画がある。未来に対する経営目標を明示する。目標をしっかりと掲げることで未来への道が見えてくる。
自社の経営資源の棚卸しを行うことで、強みや弱みが明確になる。自社の強み、長年培ってきたノウハウを生かして経営革新の道へと進むことができる。道筋のタイマツ、羅針盤が経営革新計画である。仮説であるが、仮説を実行するプロセスが変革活動ということである。
3.変革計画のポイント=基本コンセプト
変革計画=経営革新計画は、基本コンセプトの確立を中核課題とする。基本コンセプトとは、どのような事業を行うのか――ということである。言い換えれば、顧客はだれか、ということである。
顧客ターゲットの明確化である。顧客にはどのようなメリット、サービスを提供するのか。マーケットのサイズはどうか。資金はいくら必要か。これらの命題とはっきりと向き合うことが基本コンセプトの確立ということである。中小企業経営革新支援法の狙いの1つもそこにある。この狙いをしっかりと果たすことが個々の中小企業の経営活力を呼び覚ますことになる。
以上
[2019/5/25]自助努力が中心 1
5月25日(土)
経営革新支援法― 事例A
(1) 自助努力が中心 1
法律の力では企業の成長、発展は保証されない。法律の力は支援にある。あくまで企業の自助努力が中心にあって法律の支援が活かされてくる。
1.経営者の意欲を引き出す
運送業の経営者は、ここのところ燃料価格等のコストアップのプレッシャーで、守りに専念しているものが大半である。減車する。人減らしをする。いわば必死のリストラで生き延びている。こうした経営状況にあって″経営革新″という言葉は、目を覚まさせる何かがある。今のままでは先行きは暗い。経営を革新することで活力を呼び覚ます。
経営革新の内容は、運送業にあっては主に新役務の開発または提供、もしくは役務の新たな提供方式の導入、その他の新たな事業活動ということになる。この法律では、その企業にとって「新たなもの」であれば、既に他社において採用されている技術や方式であっても承認対象としている。
また、共同化(共同物流)へ向けての取り組みも承認対象となっている。さらに、事業活動全体の活性化に大きく資する在庫管理、労務、財務管理など、経営管理向上のための取り組みについても役務の新たな提供方式などとして承認対象としている。幅広く経営革新をとらえ、いわば、経営者のやる気を促しているわけである。
つづく
[2019/5/24]A社の事例 2
5月24日(金)
経営革新支援法― 事例A
(1) A社の事例 2
A社長の決意
2年前と比して売り上げは17%減少し、営業利益は50%減となっている。営業利益率では20%減である。全体の営業利益率の2%しかなく、ギリギリの状況まで追い込まれている。活路は荷主開拓による売り上げのアップしかない。
ところが、ないないづくしである。人材ナシ、資金ナシである。そこで経営革新支援法を弾みとしてチャレンジすることを決意した。経営革新計画を作成することでチャレンジ内容を整理し、まとめることができる。
自己資金の1億円は不採算部門の営業所を閉鎖して、その社有地の売却で捻出することにした。経営革新計画が承認されれば、進行状況が都道府県担当局の審査でチェックされる。承認されれば後戻りはできない。やるしかないのである。生き残り、成長していくためには展望を切り拓くことが求められている。展望の具体的表現が経営革新計画である。3億円の設備投資をして、3年後には30%の付加価値を上げる。
A社長の胸にふつふつと闘志が湧いてくる。希望を感じる。「やるしかない。必ずできる」――A社長の決意である。
以上
[2019/5/23]A社の事例 1
5月23日(木)
経営革新支援法― 事例A
(1) A社の事例 1
A社は車両台数100台あまりの中堅運送会社である。ここ2、3年は荷主からの物流合理化の大波を受けて運送収入が低迷し、収益力が弱まってきている。「このままではジリ貧になる。なんとかしないといけない」とA社のトップは思い続けてきた。そこで中小企業経営革新支援法を活用して経営革新を進めることを決定した。
Ⅰ 「経営革新計画」の内容
1.経営革新の主目標
入庫→在庫管理→流通加工→ピッキング→配送という一連の物流システムを担う共同物流センターの建設、運営が経営革新の目標である。
この目標は「役務の新たな提供方式の導入その他の新たな事業活動」に該当する。A社長としては、荷主の物流合理化需要に対して共同物流システムの構築で対応することにした。
運賃のとらえ方を、個建て方式(1ケースいくらという料金体系)に切り換える。荷主の観点からいえば、これは物流費を変動費として位置付けることになる。この目標を達式するためには新たな荷主開拓が必要となる。荷主開拓目標は20社である。加えて、荷主開拓を担う人材育成が必要となる。かつ共同物流システムというサービス商品の情報システムの高度化が必須となる。
2.経営革新の数値目標
数値目標としては、この法律では付加価値の伸び率を3年で9%、4年12%、5年15%以上とすることになっている。A社では3年で30%を目標としている。
経営革新支援法では、付加価値は人件費、減価償却費、営業利益の合計数値としてとらえられる。
人を増やし、設備投資をし、かつ営業利益を上げることが付加価値である。人減らしとか事業の縮小といったリストラは前提にしていない。A社長はこの考えが大いに気に入っている。資金繰りさえうまく回転すれば、当面は営業利益が赤字であっても将来を見据えた目先にとらわれない経営が可能となる。
(3)経営計画および資金計画
A社の経営革新は3ヵ年である。付加価値の伸び率は30%である。添付資料としては直近3期間の決算書と定款が要る。共同物流センターの設備投資額は3億円である。
つづく
[2019/5/22]経営革新を支援する
5月22日(水)
経営革新支援法― 事例A
(1) 経営革新を支援する
「中小企業経営革新支援法」という法律がある。この法律は1999年7月より施行されている。
この法律は「経済的環境の変化に即応して中小企業が行う経営革新を支援するための措置を講じ、合わせて経済的環境の著しい変化により著しく影響を受けている中小企業の将来の経営革新に寄与する経営基盤の強化を支援するための措置を講ずることにより、中小企業の創意ある向上発展を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする」(同法第1条)。中小企業の経営革新を支援する法律である。
支援を受けるには、経営革新計画を作成して、原則として都道府県の担当部局へ提出、承認を受ける必要がある。経営革新の内容としては以下の通りである。
1 新商品の開発または生産
2 新役務の開発または提供
3 商品の新たな生産または販売方式の導入
4 役務の新たな提供方式の導入、その他の新たな事業活動
個々の中小企業にとっての「新たなもの」により、経営革新を促すものである。承認されれば、以下の支援措置を利用することが可能となる。
①経営革新融資
経営革新計画の承認を条件として経営革新に必要な設備資金および長期運転資金について融資される。担保徴求の一部免除(8,000万円を限度とする)を受ける場合は、経営革新利率が適用される。
②各種税制措置
③信用保証協会による信用保険の特例
④中小企業近代化資金制度の特例
⑤中小企業投資育成制度の特例
つづく
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