CONSULTANT DIARY川﨑依邦の日々

[2019/5/24]A社の事例 2

5月24日(金)

経営革新支援法― 事例A

 

(1) A社の事例  2

A社長の決意

2年前と比して売り上げは17%減少し、営業利益は50%減となっている。営業利益率では20%減である。全体の営業利益率の2%しかなく、ギリギリの状況まで追い込まれている。活路は荷主開拓による売り上げのアップしかない。

ところが、ないないづくしである。人材ナシ、資金ナシである。そこで経営革新支援法を弾みとしてチャレンジすることを決意した。経営革新計画を作成することでチャレンジ内容を整理し、まとめることができる。

自己資金の1億円は不採算部門の営業所を閉鎖して、その社有地の売却で捻出することにした。経営革新計画が承認されれば、進行状況が都道府県担当局の審査でチェックされる。承認されれば後戻りはできない。やるしかないのである。生き残り、成長していくためには展望を切り拓くことが求められている。展望の具体的表現が経営革新計画である。3億円の設備投資をして、3年後には30%の付加価値を上げる。

A社長の胸にふつふつと闘志が湧いてくる。希望を感じる。「やるしかない。必ずできる」――A社長の決意である。

以上

カテゴリー: 経営コンサルティング活動の実話
| 投稿日: 2019年05月25日 | 投稿者: unityadmin

[2019/5/23]A社の事例 1

5月23日(木)

経営革新支援法― 事例A

 

(1) A社の事例 1

A社は車両台数100台あまりの中堅運送会社である。ここ2、3年は荷主からの物流合理化の大波を受けて運送収入が低迷し、収益力が弱まってきている。「このままではジリ貧になる。なんとかしないといけない」とA社のトップは思い続けてきた。そこで中小企業経営革新支援法を活用して経営革新を進めることを決定した。

Ⅰ 「経営革新計画」の内容

1.経営革新の主目標

入庫→在庫管理→流通加工→ピッキング→配送という一連の物流システムを担う共同物流センターの建設、運営が経営革新の目標である。

この目標は「役務の新たな提供方式の導入その他の新たな事業活動」に該当する。A社長としては、荷主の物流合理化需要に対して共同物流システムの構築で対応することにした。

運賃のとらえ方を、個建て方式(1ケースいくらという料金体系)に切り換える。荷主の観点からいえば、これは物流費を変動費として位置付けることになる。この目標を達式するためには新たな荷主開拓が必要となる。荷主開拓目標は20社である。加えて、荷主開拓を担う人材育成が必要となる。かつ共同物流システムというサービス商品の情報システムの高度化が必須となる。

2.経営革新の数値目標

数値目標としては、この法律では付加価値の伸び率を3年で9%、4年12%、5年15%以上とすることになっている。A社では3年で30%を目標としている。

経営革新支援法では、付加価値は人件費、減価償却費、営業利益の合計数値としてとらえられる。

人を増やし、設備投資をし、かつ営業利益を上げることが付加価値である。人減らしとか事業の縮小といったリストラは前提にしていない。A社長はこの考えが大いに気に入っている。資金繰りさえうまく回転すれば、当面は営業利益が赤字であっても将来を見据えた目先にとらわれない経営が可能となる。

(3)経営計画および資金計画

A社の経営革新は3ヵ年である。付加価値の伸び率は30%である。添付資料としては直近3期間の決算書と定款が要る。共同物流センターの設備投資額は3億円である。

つづく

カテゴリー: 経営コンサルティング活動の実話
| 投稿日: 2019年05月24日 | 投稿者: unityadmin

[2019/5/22]経営革新を支援する

5月22日(水)

経営革新支援法― 事例A

 

(1) 経営革新を支援する

「中小企業経営革新支援法」という法律がある。この法律は1999年7月より施行されている。

この法律は「経済的環境の変化に即応して中小企業が行う経営革新を支援するための措置を講じ、合わせて経済的環境の著しい変化により著しく影響を受けている中小企業の将来の経営革新に寄与する経営基盤の強化を支援するための措置を講ずることにより、中小企業の創意ある向上発展を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする」(同法第1条)。中小企業の経営革新を支援する法律である。

支援を受けるには、経営革新計画を作成して、原則として都道府県の担当部局へ提出、承認を受ける必要がある。経営革新の内容としては以下の通りである。

1 新商品の開発または生産

2 新役務の開発または提供

3 商品の新たな生産または販売方式の導入

4 役務の新たな提供方式の導入、その他の新たな事業活動

個々の中小企業にとっての「新たなもの」により、経営革新を促すものである。承認されれば、以下の支援措置を利用することが可能となる。

①経営革新融資

経営革新計画の承認を条件として経営革新に必要な設備資金および長期運転資金について融資される。担保徴求の一部免除(8,000万円を限度とする)を受ける場合は、経営革新利率が適用される。

②各種税制措置

③信用保証協会による信用保険の特例

④中小企業近代化資金制度の特例

⑤中小企業投資育成制度の特例

つづく

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| 投稿日: 2019年05月23日 | 投稿者: unityadmin

[2019/5/21]鬼業仏心の経営

5月21日(火)

鬼業仏心の経営― 事例A

 

(1) 鬼業仏心の経営

そして「鬼業仏心」という経営スローガンを打ち出した。鬼の心と仏の心を持ってやり抜こうというわけである。

①鬼の心

・計画必達の鬼

・コストダウンの鬼

・生産性アップの鬼

・新規開拓の鬼

・事故絶滅の鬼

②仏の心

・信頼と満足を与える顧客づくり

・働きがいのある意欲に満ちた職場づくり

・知恵とアイデアを引き出す人材づくり

・素直に話し合える人間関係づくり

・日々新たに将来へ夢のある会社づくり

「鬼業仏心」の具体化として、それぞれ幹部が具体的行動目標を設定した。一例を挙げる。

・計画必達の鬼――日々の売り上げチェックをして、実績と目標との差異の原因を分析し、すぐさま対策を取る

・コストダウンの鬼――経費予算を作成する。発注書の作成を行い、チェックし、1万円以上は社長決裁とする。

・生産性アップの鬼――訪問荷主リストを作成する。荷主のニーズの把握に基づく物流提案能力の強化

・事故絶滅の鬼――事故発生者の適性診断、事故多発者の下車勤務処分の実施

トップは具体的行動目標に基づいてアクションを起こした。気迫がみなぎる。トップの気迫によって、幹部のやる気に火がついた。――必死の日々。鬼となって進む。仏心を暖めていく。トップは幹部と腹を割って話し合った。「どうしたらこの苦境から脱出できるか。どんなことがあっても乗り越えてみせる。命を掛けてやり抜く。どうかわが社に力を吹き込んでください」。決死のトップの思いで、幹部1人ひとりの目の色が変わってくる。まさに土壇場、首切りの刑場ともいうべき局面から底力を発揮してくる。

トップの気迫とは、言い換えれば、経営に対する情熱、熱意の発露である。情熱、熱意の根源は何か。それは使命感ではなかろうか。そのために尽すという使命感をバックとして発露するのではあるまいか。

A社のトップは妻の一声からそれに気付き、自己の経営姿勢を変革して″ナニクソ″精神で苦境に挑んでいった。わが身の栄達とか私欲ではなく、世のため人のため――という使命感に揺さぶられ続けて、経営に対する真摯な熱意を発揮した。それは「鬼業仏心」の経営スローガンによく表現されている。A社の再建プロセスはトップの気迫のすさまじさを教えてくれるものとなった。

以上

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| 投稿日: 2019年05月22日 | 投稿者: unityadmin

[2019/5/20]5Sの呼びかけ

5月20日(月)

鬼業仏心の経営― 事例A

 

(1) 5Sの呼びかけ

①整理:要、不要を明確に分けて不要を捨てる(事務所の書類、車両内の整理)

②整頓:必要なものを選別し、だれにでも分かるよう明示する(書類、部品、工具などを整頓し、区分する)

③清潔:職場の環境、身だしなみを清潔にする(制服、安全靴を着用し、髪、ひげなども清潔にして印象をよくする)

④清掃:きれいに清掃をする(車両、事務所、トイレ、車庫内、工場内などをきれいにし、だれもがいつも清掃を心掛ける)

⑤しつけ:ルール、マナーの遵守(規則、規律を正し、顧客、上司、先輩、同僚に対するいたわりの心、あいさつ、礼節を重んじ、報告、連絡を確実に行うことを習慣とする)

5Sの呼びかけである。1ヵ年に及ぶ毎朝の掃除実践を踏まえての呼びかけである。朝礼、職場ミーティングを通じて、繰り返し繰り返し徹底していった。このプロセスで組織改革を断行した。幹部10人を、それぞれワンランクずつ降格したのである。今までの部長が課長に、課長が係長になったのである。

やむにやまれぬ処置である。幹部全員が襟を正すことで、従業員に経営理念確立へ向けてのアピールを行った。この降格処置はトップの一存で決めたわけではない。もちろん、トップの提起を受けてのことであるが、幹部会議で決定したものだ。

つづく

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| 投稿日: 2019年05月21日 | 投稿者: unityadmin