職場小集団活動取組事例
A社における交通事故ゼロを目指しての職場小集団活動事例を紹介する。職場小集団活動の基本コンセプトは次の通りである。
こうした基本コンセプトに基づいている。基本コンセプトは実践活動で鍛えられていく。
職場小集団活動のストーリーは次の順序で行う。
1. | テーマを選定する。問題と悪さ加減を明確にしていく。 |
2. | 現状の把握と目標の設定をする。その為には事実を集め、数値目標を明確にする。目標値と期限を決める。 |
3. | 活動計画を作成する。表1の通りである。実施施策(何を)、役割分担(誰が)を明確にする。 |
4. | 要因分析をする。事実に基づく。特性値(データ)の現状を調べる。要因を分析して実際に結果に影響する要因を突き止める。そのうえで対策項目を決める。 |
5. | 対策の検討をする。再発防止のための知恵を出す。対策の具体化を検討する。 |
6. | 実施方法を検討する。その上で対策を実施する。 |
7. | 効果の確認をする。目標値と比較する。成果をつかむ。 |
8. | 歯止めをする。歯止めは標準化と管理の定着のことである。 |
9. | 残された問題点を明確にして次のステップにつなげていく。 |
こうした職場小集団活動のストーリー(1から9)は手抜きすることなく進行することとしている。
表1の事例について述べる。交通事故ゼロに向かって実施施策は
としている。
記録のために『悪いクセ・チェックリスト』『洗車・整理整頓チェックリスト』『タコグラフチェックリスト』を活用する。リーダーの役割はミーティングを開催し、メンバー間の情報交換を活発に行い目標達成への動機づけを行うことにある。その為にリーダー会に出席し、自分の小集団のPRを行い、他の小集団に情報をつかむこととしている。A社ではリーダー会をリーダー研修の場として位置づけている。研修内容は小集団活動のストーリーを学び、成果の上がっているグループの体験発表を行っている。月1回実施している。講師は社外の経営コンサルタントである。仲間内で行うよりも外部のチェックがあるほうが小集団活動が引き締まるとの理由からである。リーダーは1年に1日交代している。その間はリーダー手当として月10,000円支給している。リーダーに任命されて、その職責をまっとうすることで人材育成していくねらいがある。年間12回のリーダー研修を実施している。
A社の職場小集団活動の体系は表2の通りである。
1. | 小集団推進委員会は社長を含む役員管理職、事務局で構成している。交通事故ゼロに取組むことで人材育成を成し遂げていこうとする強い意志に裏付けられている。 |
2. | リーダー会は先述した通りリーダー研修として位置付けている。職場小集団活動の初期ではリーダーのなり手がいなくて困ったものである。『自分はドライバーで入ったのにどうしてこんなことをしなくてはいけないのか』と反発されたものである。今では職場小集団活動はA社の文化として定着している。リーダーに任命されることは誇りである。 |
3. | 小集団ミーティングは月1回としている。ミーティングの時間を取るのは大変であるが、配車係の協力を得て行っている。ミーティング終了後は食事会を行っている。 |
その上で( 6 )の職場小集団活動発表大会を行う。
発表大会はA社にとっては大イベントである。全員出席を原則としているが、実際は80%程度の出席率である。日曜日に行っているが、それでも日曜出勤の仕事があるドライバーもいる。やむ得ず仕事のために欠席するものが出てくる。発表グループについては1位から3位まで表彰している。どの小集団グループもハードな仕事の中で発表原稿を作成している。小集団グループのなかには、パワーポイントを活用して発表しているケースもある。表彰されたグループはメンバー全員が踊りあがって喜ぶ。正に報酬である。報酬は金銭だけではない。仕事の中で目標を達成した喜びという精神的報酬である。
A社では職場小集団活動に取組んで5年経つ。取組む前は交通事故の多発に苦しんでいた。任意保険料は割引どころか割増である。それが今では割引率70%と優良会社である。5年前は赤字のフチに沈んでいたが、今では立派に黒字化し経常利益率5%をここ3年ばかり継続している。
現場の中からリーダーを育成していくことが小集団活動の成功のポイントである。現場リーダーの存在と活動は職場活性化を成し遂げていく。
以上