物流業の日々は慌しい。荷主からのクレーム電話が入りバタバタと振り回される。「まだ荷物がついていないよ」。「荷物が破損しているよ。後ほど弁償してもらうから請求書を送るよ」。あるいはドライバーからの事故連絡も入ってくる。車両が故障したり、タイヤがパンクしたりとてんやわんやのこともある。その上、急にドライバーが休んだりして対応に追われる。物流業の日々は、一種の戦争である。
A社の営業所はドライバー15台、傭車10台で運営している。日々25台の車両が稼動している。営業所長は業務日報(表1参照:PDF45KB、表2参照:PDF36KB)を作成して本社に報告する。
(1)業務日報の目的
ライバーは運転日報がある。それでは営業所長(管理者)の日報はどうなっているのか。営業所長は、日々に追われて日報どころではなかった。その為、本社からは「報連相がなっていない」と指摘されていた。営業所長自身にとっても1日を振り返る余裕がなかった。そこで、「本社との報連相を良くすること」「所長自身が日々の記録をつけることで営業所の管理データとする」という目的で業務日報を確立する。
(2)業務日報の内容
以前は週報を本社に提出していた。週報の内容は1日分が2~3行で簡単であった。メモのようなレベルである。週報を改正して業務日報とする。業務日報(表1)は行動記録と行動予定である。
(3)業務日報の運用
A社では業務終了前10分間程度、管理部門のミーティングを行っている。その際業務日報が役立つ。更に月1回の職場ミーティングの際に活用している。1ヶ月の活動の中で、日々どのようなことが発生していたか、経営管理データとしてドライバー全員に公表している。車両費はどの位発生しているか、燃費効率はどうなっているか等々の公表である。そして、どうすればコスト(燃料費、車両費等)が下がるのか考えていく。身近なところから考えていく。アイドリングをどのようにして減らすか、車の運転方法をどうするか(ブレーキの操作方法等々)―これらの1つ1つを職場ミーティングのテーマにしていく。その上、自らの稼ぎ(売上)についても公表している。稼ぎについては、日々の配車のあり方も意見を聞いていく。ワイワイガヤガヤと職場ミーティングをするのに業務日報は『しん』となっている。『しん』とは報連相の基本、支えという意味である。
物流業は在庫がない。一瞬一瞬が勝負である。サービス業たる由縁である。“千里の道も一歩から”という言葉を、つくづく噛み締めさせられるのが物流業である。コツコツと積み重ねていく仕事である。それだけに日々が大切である。それだけに日々が大切である。今までの実績も1日の大事故で吹っ飛んでしまうことすらある。日々が重い。リスクを抱えて日々を生きている。リスクとは、事故・クレームに始まり、倒産リスクもある。ある日突然、会社がよみがえる。ドライバーの物流品質が一挙にアップする。こうしたことは、日々の積み重ねなくしては達成できない。業務日報は毎日の記録として充実しなければならない。報連相の『しん』として確立しなければならない。宝クジに当たるような一発大逆転を、物流業の経営にとってはあてにすることはできない。するべきでもない。やるべきことを確実に行い、一歩一歩踏み固めていく。“千里の道も一歩から”日々の大切さを噛み締めて実践していくことである。
以上