vol.16

平成18年3月2日~3月4日に中国上海で物流セミナーの講師を務めてきた。テーマは日本の物流業界の直面している経営課題、現状報告と、物流サービス業としての物流品質向上である。参加人員は約60名、熱心な質問が続出した。北京オリンピックや上海万博をひかえて物流の大切さが増していることをひしひしと実感した。特に日本の物流業が着々と進出している点について地元である中国の物流業はどうしたらいいかとの質問は非常に答えにくかった。将来の日中摩擦の可能性が頭をよぎった。中国の物流の中核に日本企業が占めていることへの中国の物流業界からの危機感表明のシグナルと受け止めた。

更に格差についても考えさせられた。上海と内陸部は所得についても大きな格差がある。上海の1/10が内陸部の所得とのことである。その上、上海の公表人口は1,300万人であるが実際は1,800万人もいるとのことである。膨大な下層社会が形成されている。しかも上海内部でも外資系に勤めるのと地元では所得に大きな格差がある。大卒の初任給においても外資の1/5ぐらいが地元企業である。深化する格差社会というのが私の印象である。しかもニュースの統制がある。人さらいなどが多発しているとのことであるが、滅多にニュースにならないそうである。日本人と見ると声を掛けて「子どもは要らないか」と近寄ってくることもあるそうである。

そうは言っても上海のバイタリティはすごいものがある。活力がある。如何に格差が大きかろうと、人さらいが横行していても経済発展は続いている。大きな問題をものともせず経済発展を続けている。

ところで指圧はなかなかよかった。日本の1/10ぐらいの価格(約1,000円)で60分間きっちりと指圧してもらった。日ごろ指圧は滅多にしないが、60分間もすると指圧の効果を体感した。スッキリした。さあこれから日本でガンバルぞとの気持ちになることが出来た。・・・・何れにせよ春4月、経営コンサルティング活動は続くのである。

vol.17

景気は回復し、上向いているらしい。確かに個人消費(デパートの売上)も復活している。民間の設備投資欲も高まっている。今年の春闘では、久方ぶりにベースアップ(昇給)が大企業では実現してる。ところが「格差」を実感する。物流業は未だ苦しい。軽油価格の上昇も止まらない。運賃の値上げも未だままならない。

筆者は今年、4月から5月にかけて物流セミナーを全国で展開中である。博多、広島、福井、新潟、仙台、札幌、更に経営指導で青森、岩手、長崎と巡回する。いわゆる地方である。対象は物流業(とりわけ中小の運送業)の経営者、経営幹部である。セミナー会場で問いかける。「景気はどうですか。運賃は上がっていますか。」答えが返ってくる。「いやー、景気の良さはピンときませんね。」「未だに運賃の値上げどころか、値下げを通告されていますよ。」その上ドライバーの不足に直面している。「できたら運送業を辞めたいですよ。」との声も聞く。筆者の物流セミナーに足を運んで下さる方々は「なんとかしたい」とか「もっと勉強したい」とかの経営に前向きな方々である。にもかかわらず「苦しい」「どうしたらいいか」との声をしきりと聞く。物流業(運送業)は中小企業が圧倒的である。荷主との力関係の「格差」、大企業(大手物流業)との「格差」をまざまざと知らされる。又一方、見方を変えれば日本の物流はこうした中小の物流業者によって支えられていることも確かである。「自信」を持つことである。出来ればというか、心掛けていることは、筆者もコンサルタントとしての「自信」とか「勇気」「希望」「やる気」を売っていきたい。対象は運送業界である。確かに苦闘を強いられている。“我が世の春”を満喫している物流会社はごく一部である。生きていくのに精一杯である。大企業のベースアップを指をくわえて見ているだけかもしれない。そうであればあるだけ「自信」「勇気」「希望」「やる気」を具体的に売っていける経営コンサルタントでありたいと感じるものである。

vol.18

「経営コンサルタント物語-物流企業の現場から」(仮題)と題して、新刊本の出版準備に入っている。発売は平成18年8月を目標としている。新刊本の内容は、当社のホームページのライブラリーを材料として第1章から第10章に分けている。ライブラリーは経営フォームとか各種マニュアルで構成されている。ライブラリーの各種フォームの活用方法を解説している。図表は100種類を超える。図表100種類をケーススタディ約70事例の中で解説している。ケーススタディ事例70に対して、それぞれストーリーを付け加えている。70のストーリーとなると、これまでの経営コンサルティング活動の総ざらいとなる。思う事は次の通りである。

  1. 経営コンサルタントを産み育てるのは、学問とか机の上ではなく経営コンサルティング の実践の中である。今までのことを振り返ると、感謝の念が湧いてくる。よくぞここまでやってこられたとつくづく感謝する。
  2. 経営コンサルタントは体力勝負である。北は北海道から南は九州までかけずり回っている。日曜日もない。毎日どこかで新幹線に乗っている。あるいは飛行機に乗っている。どうしてこんなことになってしまったのか。「別の生き方もあったのではないか」とふと頭をかすめる。
  3. どうして経営コンサルタントいう職業を続けてこれたのか。性格にあっていたのかもしれない。変化、変化の日々である。1ヶ所にじっくりと落ち着くこともない。原稿の執筆にしても、机の上でゆっくり書くということもない。新幹線の車中、隙間の時間を活用して喫茶店にて、或いは宿泊ホテルの一室・・・様々である。出会う企業も様々である。こうした変化が、私の生き方にあっているのかも知れない。

さて、この度の新刊本は読んでくれる企業、人はいるであろうか。たとえ1人でも読んで頂いて、何らかの役に立てば本望である。これまでに経営コンサルティング活動を実践してこれたことに対しての感謝の念として新刊本を世に問う。繰り返す。たとえ一人でも読んで頂き、お役に立つことを心から願うものである。

vol.19

8月初旬を目標として新刊本の出版を進めている。書名は『物流業の経営・労務・人事のコンサルティング事例73』(出版社は(株)日本法令)

筆者が関わった物流業界を対象とするコンサルティングのなかから事例73をピックアップしている。事例ごとに図表、各種フォーム、マニュアル集を紹介している。((株)シーエムオーHPのライブラリーで公開予定)

新めて新刊本を8月に発表するにあたって、つくづく「人」の重さに感じている。物流業(すべての企業にあてはまるが)にとっては「人」が重い。経営者の生き様は言うに及ばず、企業の財産は「人」である。経営者がどこまで成長するか。企業で働く1人1人がどこまで伸びていくか。これによって企業の命運が決まってくる。企業の経営改革は「人間改革」でもある。「意識改革」である。ところが「意識改革」は経営コンサルタントにとっては荷が重い。どうしても手法、テクニックの紹介に留まるケースもある。経営コンサルタントの仕事の本質は、そうした目先の経営技術のみならず、「意識変革」を迫っていくことにある。省みて自らはまだ道遠しと思わざるを得ない。(とは言っても日々努力、精進していく他ない。)

さて、新刊本のもう一つのねらいは、読者に対して勇気、チャレンジ精神を呼び起こすことにある。単なる知識、情報の紹介ではなく、読む人をして「よし、ガンバルぞ。」と気持ちを奮い立たせていく。物流業を取り巻く経営環境は依然厳しい。世間(社会)の見る目も一段と低くみているところもある。物流業界の経営者の多くは生きていくのが精一杯で、明日の希望を見い出していないのが大半である。「できたら足を洗って物流業を辞めたい。」とすら内心思っている経営者も珍しくない。あるいは物流業で働く1人1人が、自らの人生に「これなら大丈夫だ。必ずやれる。」との確信もなく、その日暮しに陥っている者もいる。そうした1人1人に対して勇気とチャレンジ精神を呼び起こしていくことを新刊本のねらいのひとつとしている。今回の新刊本は省みて経営コンサルタントとして道遠しでありつつも、筆者にとっては日々の努力の集大成である。

vol.20

45年ぶりに再会するということもある。私の小学校6年生(12歳)の時の同窓会のことである。平成18年7月に開かれた。当時の先生も70歳になられていた。お会いした瞬間「おぉー川﨑か。」と声を掛けられたのには、心底びっくりするやら嬉しいやらであった。それからは参加した級友に会い、当時の卒業アルバムを見て「〇〇君だね。」となる。女子の級友は皆、元気で派手目の服装で年よりは若く見えた。男の方は「そろそろ来年ぐらい早期退職制度を活用して会社を辞めるよ。」と言う者もいて、何となく老年の足音を聞かされて身に詰まされた。参加人数約15名。深夜遅くまでワイワイと懇談した。級友の1人が「よくぞ生きて会えましたね。」と語り掛けたのには私も全く同感であった。年月の流れにひとしおの感慨を覚えた。人生は出会いと別れの連続である。いろんなことに出会い、そして別れていく。一期一会とはよく言ったものである。元気そうに見えても明日はどうなるかわからない。今日に力を尽くし、いい出会いをするしかない。級友の1人が心に残ることを言った。「成長するということは、諦めることを覚えることですね。」諦めるとは断念のことで、あれになりたい。これになりたいと色々思いつつ一つずつ諦めて今日に至る。「このプロセスが成長ですね。人生に諦めがなかったら本当の人生とは言いませんね。」味深い言葉である。企業経営においても諦めなければならないことがある。あれもやりたい、これもやりたいと言っても全てできるわけではない。ひとつのことに集中していくことが必要である。見方を変えなければ赤字ばっかり続く事業(仕事)にしがみつくよりは、そこは諦めて別の事業展開をする。新たな出会いが生まれる。“花も嵐も踏み越えて、サヨナラだけが人生だ。”ある人の言である。出会いがあれば、必ず別れがある。従って、今を大切に生きていく。更に今日より明日はもっといいことがあると信ずること、この姿勢が大切であるまいか。45年ぶりに小学校の同窓会に参加しての感想である。