人生は運の力が大きい。省みて「助かった」と思う時は出会いによってもたらされる。あの時、あの場所であの人に出会わなければこうはならなかったとつくづく思う。私は1968年に現役で大学に合格して上京した。その際私は、実は第一志望の学部(大学は同じ)には不合格だったので一浪しようかと思っていることを高校の担任の先生に相談した。郷里である広島に残って一浪しようとしたのである。ところが担任の先生曰く「一浪しても第一志望の学部に合格するかどうかわからない。ひょっとして現在現役で合格している学部すら不合格になるかもしれない。1年は長いよ。すぐ入った方がいいよ」。あのまま一浪していたらひょっとして関西、それも京都あたりの大学に行っていたかもしれない。当時の同級生は東京まで出て行く者は少数派である。京都あたりが手頃である。「そうか。1年は長いか」と思って納得して上京した。担任の先生の一言の力である。
就職の時は一気に東京を離れて四国の徳島に赴任した。きっかけは最初に面接してすぐ内定を貰ったことにある。実はほぼ同時に内定を貰った会社は東京の会社である。あのまま東京に留まっていれば、どうみても今日の姿はない。東京から遠く離れた四国の徳島が良かった。自らの「青春」に区切りをつけることができた。ゼロからのスタートにピッタリであった。しかも配属先が社長室人事課である。営業ではなく地味な人事課である。当時の人事課長が「川﨑君は私が鍛える」と言って非生産部門に配属した。この人事課長の一言がなければどうなっていたか。おそらく経営コンサルタントの道には進まなかった。
人生の運を支えるものは出会いの妙である。あの時、あの場所であの人に出会うことがなかったら、おそらく別の人生となったであろう。人生は不思議さに満ちている。不思議に直面して一瞬一瞬全力を尽くすことが、人生の妙味というものではあるまいか、とつくづく思うものである。