vol.55

「覚悟をもって生きているか」、時々内心の声に問われる。覚悟とは、ハラをくくること。人生において辛いこと、悲しいことがあっても逃げずに向き合うことができるか。じっくりと内心の声に耳を傾けていると「ハラを据えてやるしかない」と答える。

思えば、自分の人生で「覚悟」して臨んだことはあったであろうか。成行きに任せたりしていなかったか。人生の節目、節目での来し方を振り返る。大学入学の際、東京へ行った際はどうであったか、大志を抱いていたか。たしかに希望に燃えていたが、結局は希望通りの道は歩まなかった。両親の期待はものの見事に裏切ってしまった。青春真っ只中にあって、浮草のような東京暮らしに埋没してしまった。「覚悟」のかけらもない日々の連続であった。かろうじて卒業して就職することはできたが、将来の展望は確たるものなどなかった。振り返ればよくぞここまで生きながらえたとの想いを深くする。

ここにしてようやく覚悟する。それは生涯現役を貫くということである。言い換えれば死ぬまで働く。このまま楽をしたいとは思わない。ひたすら前へ向かって、前のめりになって人生を貫いていきたい。結局働くことを、人生の全てにする。ある人は、晩年はリゾート地で余生をのんびり海をみて暮らすのが夢という。夜は満天の星をみて大宇宙の神秘を感じたいという。私はそのような夢は持たない。またある人は、全世界をこころゆくまで旅をしたいという。世界一周が夢だという。私はそのような夢はいらない。それでは「あなたの夢は何か」と内心の声が問う。一日一日が、生涯現役の日々であり続けることが、私の夢かもしれない。

いつ死んでも悔いはないと思えるような、日々の充実を積み重ねていくこと―これが私の覚悟である。ハラを据えるということである。一歩ずつ、一歩ずつが夢に近づく道である。