vol.35

 私のコンサルティングの原点はどこにあるのであろうか。
 最初に有料にて経営指導した関与先のことを想起する。約25年前、業種は飲食業。経営指導テーマは「会議指導」である。5店舗の店長が出席する。社長が前月の各店舗の収支状況を発表する。客単価、客数、1人の客がいくら使ったか。前年と比してどうか。目標とのギャップをどうするか。関与先の飲食業の業態は、ファミリーレストランタイプではなく、今でいえばキャバクラほどではないが、カウンターを挟んで酒食を提供する。接客する女性の質によって売上が上下する。服装手当が女性には支給される。接客する女性の質とは何か。これが不思議なことにいわゆるタレントのような誰がみても「美人」はパッとしない。そこそこ美人であって、愛敬のあること、お客の心が読めてお客を楽しくさせる女性が断トツに売上が良い。外見よりも顔の明るさとか表情の豊かさとか、メリハリの利いた会話能力等がものをいうのである。すごい「美人」は今でいえばストーカーのような熱狂的な客がつく。これが商売となると難しい。客との距離が取りにくい。客はできるだけ近づこうとする。近づきすぎると他の客がおもしろくない。いつの間にかすごい「美人」は消えていく。そこへいくと、そこそこの美人タイプで愛敬のある人は、客との距離もうまく取れている。ファンに囲まれる。会話能力といっても聞く力や質問する力に優れている。今から思うと、有料で経営指導しながら私が教えられていたようなものである。経営コンサルタントも然りではあるまいか。学問、知識の優秀さ、いわゆる美人度の高さよりも、客の心が読めることの方がものをいう。客の心、ニーズに応じて会話能力、とりわけ聞く力、質問する力を発揮する。「服装手当」は経営コンサルタントからすると読書のことか。あるいは実際の身だしなみのことでもあろう。経営コンサルタントの育成道場は教室ではない。関与先との関わりといった現場である。現場に立ち続ける継続力によって、経営コンサルタントは育成される。 思えば、最初の経営指導料は月5万円であった。