vol.04

アッケラカンとクライアントの会長が言う。「私も70歳を超えて、いよいよ後がないですよ。肝臓ガンです。」本人の言うところによると、せいぜい生きてもあと3年。にもかかわらず意気消沈するどころか、経営意欲は十分である。荷主に対して物流合理化の提案をし、この度それが受け入れられて、年率30%の売上アップの見込みである。そこで如何にして社内体制を構築するか、とりわけ後継者をどうするか。息子は40歳になったばかり。「私の悩みは息子です。」会長から息子を見るに一言で言えば、“ボンクラ”となる。荷主からの信用がない。「あの男(息子のこと)を責任者にするな。」と荷主から直言されている。理由は、部下を掌握していない。机の上に座っているよりすぐどこかへ行ってしまう。会議になっても的を得た発言をしない。・・・等々である。その上会長の前では大人しくしているが、どうも夜遊びも好きである。息子の嫁からのグチも聞く。息子の借金の肩代わり(遊び代)をしたこともあるという。原因はどこにあるか。「この度肝臓ガンで病院に入院して、つくづく考えましたよ。」会長の分析によると一言で言えば、“怒ってばかり”にあるという。息子が会社に入ってからというもの、顔を見れば“怒ってばかり”。社員の前でも平気で「バカ息子」と叱る。押さえつけすぎたところにあると気付いたわけである。更に言えば息子は長男であり、物心がついて以来“怒ってばかり”、「これでは二重人格になるはずだ」「どこかでストレスを発散するようになるものもよくわかる。」
にもかかわらず、後継者は息子しかいない。あと3年(よくもって3年)しかない。そこで、これからは押さえつけることはしない、怒らないようにすると心に決めている。会長にとっては会社は息子みたいなものである。2人の息子がいるみたいなものである。なんとかして企業を永続させたいと強く念じる。とはいうものの、息子の顔を見ると“怒りたくなる”と言う。業の深さというべきか。