vol.03

経営コンサルタントとして問うている。「自らの存在価値はどこにあるか。」

創業者社長75歳、報酬はゼロである。毎日出社している。経営は苦しい。銀行からの融資もダメ。資本金がマイナスとなり、債務超過しているからである。聞けば、主要荷主の倒産によって追いこまれ、四苦八苦の資金繰りを続けているという。経営コンサルタントとしての存在価値が問われる場面である。経営コンサルタントは、勇気と判断を売る商売である。創業者の社長の勇気を奮い起こすことができるか。75歳の創業者社長のやる気を引き出すことができるか。あるいは、スパッとした経営判断を経営コンサルタントとして指し示せるであろうか。創業者社長が引退してどうなるものでもない。後継者も育成していない。創業のキッカケを聞く。車一台からのスタートと言う。知り合いから車を持って仕事をしたらと薦められたからと言う。「今までの人生で良かったことは何でしたか。悲しかったことは何ですか。」「そうですね。良かったことより辛いこと、悲しいことが心に強く残っていますよ。」聞けば、後継者と目していた息子(25歳)を事故で亡くしたと言う。いろいろと心の内を聞く。聞けば、息子の死亡退職金まで資金繰りに活用したと言う。辛い話である。「とにかく“生きる”ことのなかで活力を見出そう。生き続けることで亡くなった息子を供養していこう。」社長室の机の上の息子の写真を見ながら創業者社長はつぶやく。ここまでの会話のプロセスの中に、経営コンサルタントとしての存在価値がある。単なる知識の切り売りではない。ましてや、年上の経営者に説教を垂れる資格もない。ひたすら共感の土俵の中で交渉すること、この道で経営コンサルタントとしての活路を見出して行くことである。これからである。これからが本格スタートである。まだまだ足りないことが多すぎる。本当の意味で勇気と判断を売れる経営コンサルタントを目指して行こう。ひとつひとつの出会いで学びを深めていく。